スナックの女性経営者ばかり4人を殺害
犯人は閉店後のスナックを訪れ、4人のママを殺害し金品を奪って逃走
現場に残った指紋から特別指名手配された西川正勝 死刑囚
●スナックママ連続殺人事件に巻き込まれた女性落語家:桂あやめ
女性落語家:桂あやめ、兄弟子は桂三枝
彼女は女性落語家の先駆者として将来を期待された若手実力派だった
1991年12月12日、姫路市内にあるスナックで
閉店直後に訪れた男がママの首を絞めナイフで殺害 金品を奪う事件が起きた
現場に残された指紋から割り出された犯人が、西川正勝 死刑囚
18歳の時に女性を殺害、
17年の刑務所暮らしを経て、2か月前に出所したばかりだった
21日、島根県松江市で2人目の被害者が発見
26日と28日に京都と次々と女性を殺害し金品を奪い逃走
特別指名手配されるも逮捕される事なく行方をくらましていた
1991年12月31日、大阪市天王寺区で一人暮らしをしていた桂あやめ
その日、年越しに行う落語会の準備をしていた
彼女の家にはテレビも新聞もなく、
自分の身近で連続殺人事件が起こっている事すら知らなかった
そして午後1時過ぎ、呼び鈴が鳴った
ドアを開けると、見知らぬ男が立っていた
「どちらさんですか?」「今度引越ししてくることになった者です」
その印象は、小柄で腰が低く愛想のいい人
「さっき自分の部屋に入ったんですけど、すごい壁が汚れていて、お宅はそんなことはなかったですか?」
「いや こんなんですよ」
男は部屋をくまなく見渡したのち、この日はそのまま帰っていったという
当時 桂あやめが住んでいたのは、部屋数6つの小さなアパート
さらに住人も2~3人しかおらず、引越しの話を全く疑わなかった
実際にそれから数日間 隣の部屋から物音が聞こえていたという
特に気にも留めていなかったが、
音の正体は、あやめの部屋の隣にあるガスメーターが入った1畳ほどのスペースで男が寝泊まりしている音だった
1992年1月5日午前10時45分、
この日 あやめは年越しの落語会も落ち着き、一人部屋で眠っていた
呼び鈴が鳴った
「どちらさんですか?」「今日隣に越してきた白神です」
玄関を開けると そこに居たのは5日前に挨拶に来た男
すると男は「ちょっと電話貸してもらえます?」
事前に確認していた玄関先の見える場所にあった電話
貸さない訳にはいかないと思った あやめは「いいですよ」
その瞬間、男は両手であやめの首を絞め、押し倒した
首を絞められていたため声も出せない
近くにあった花瓶で抵抗するも男の力には勝てず、そのまま気を失った
目を開けると自宅の天井だった
夢だと思い、体を起こすと…そこには まだ男がいた
男は再び彼女に襲いかかってきた
あやめは命乞いでも何でも犯人と会話しようと必死になった
すると…「金はあるのか…?」「あります。電話台の引き出しの中にあります」
たまたま着物代があったため場所を教えた
男は電話台を物色し、金を確認
あやめは間を作らないで会話を続けた
とにかく気分を害すると殺される、あやめは落語で鍛えた話術で相手が気持ちよく話せるように努めた
すると犯人は徐々に落ち着きを取り戻し、タバコを吸い始めると身の上話を始めたという
「俺はいまスナックママ殺しやと言われて警察に追われているんや。ずっと逃げ回っているんやけど田舎に帰るにも姉が一人おるんやけど行くわけにも行かんし他に身内もおらへんしな」
あやめは、逃げるのに疲れているなと感じた
不意に本音が「捕まった方が楽ちゃいますか?」
「俺警察嫌いや!捕まるぐらいやったら死んだ方がマシや!」
「死んだらあきませんよ。死んだら終わりです」
激怒されたら殺される…そんな恐怖と闘いながら会話を続けた
すると「あんた…ええ人やな」
男はそれ以上危害を加えることなくお金を持って立ち去った
そして桂あやめを襲った2日後、1992年1月7日、犯人は逮捕された
実は再び女性宅に侵入するも、ここでも女性から
熱心に説得され続け、ついに逃亡を断念
男には死刑判決が言い渡された
現在、バツイチの桂あやめは大阪市内で小学生の娘と二人暮らし
PTSDの症状と向き合いながら暮らしている
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